演 題「岩手発 ブラックホール行き 銀河鉄道の旅」
 国立天文台水沢 VLBI 観測所(岩手県奥州市)は、明治 32(1899)年に旧緯度観測所として誕生してから現在に至るまで、長い歴史のある天文台です。大正時代には童話作家・宮沢賢治が複数回観測所を訪問して作品のインスピレーションを得ており、宇宙を題材にした賢治の作品群に影響を与えました。その後、水沢の天文台は昭和 63(1988)年に国立天文台となって、現在も岩手の地にて、天の川銀河や、ブラックホールの研究などを行っています。特に令和元(2019)年には、国立天文台水沢の研究者を含む国際プロジェクトがブラックホールの写真撮影に成功するなど、天文学の最先端研究を岩手の地で現在も進めています。
 本講演では、水沢の天文台の歴史や宮沢賢治とのつながりに触れつつ、ブラックホールの撮影成功を中心とした最先端の天文学研究について、わかりやすく解説します。また併せて、研究者から見た図書館の重要性と今後への期待についても述べたいと思います。

講 師 本間 希樹(ほんま まれき) 氏

(国立天文台 水沢 VLBI 観測所 所長/教授)

【出身地】
1971年アメリカ合衆国テキサス生まれ、神奈川県育ち
【略 歴】
1994年東京大学理学部天文学科卒業
1999年同大学院博士課程修了。同年国立天文台COE研究員。
その後、助教、准教授を経て 2015 年より現在まで、国立天文台教授、水沢 VLBI 観測所所長を兼務。また現在、総合研究大学院大学及び東京大学大学院の併任教授。専門は電波天文学で、超長基線電波干渉計(VLBI)を用いて銀河系構造やブラックホールの研究を行っている。2017年より NHK ラジオ「子ども科学電話相談」の回答者も務める。

【主な著書】
『巨大ブラックホールの謎』(講談社ブルーバックス)
『国立天文台教授が教える ブラックホールってすごいやつ』(扶桑社)
『宇宙の奇跡を科学する』(扶桑社)
『国立天文台教授がおどろいた ヤバい科学者図鑑』(扶桑社)